製薬会社のWEBサイトを訪れると「あなたは医療関係者ですか?」と聞かれることがあります。「はい」であれば医療関係者として見られるコンテンツに、「いいえ」であれば一般の人に合わせたコンテンツへと誘導されます。

ほとんどの製薬会社では、このような構造のサイトになっていると気付きます。
これは日本製薬工業協会(製薬協)が「製薬協コードオブプラクティス」の中で医薬品の広告やWEBサイトにおける自主基準を取り決めており、製薬協に加盟している企業がその取り決めに従ってサイトを運営するように努めているからです。

例えば、医療関係者を対象とした場合「サイトの閲覧に際しては、閲覧者が「医療関係者」向けの情報である旨の確認を必須とする。」となっており、当然サイトデザインも自主基準に従い反映しなければなりません。

また、サイト制作にあたって「製薬協コードオブプラクティス」以外にも薬機法、適正広告基準など関連法規を遵守する必要があり、特に医療用医薬品の広告に関して非常に厳しいルールがあるため、まず対象者をサイト内で誘導しなければなりません。

 

一般の人に向けたサイト制作におけるポイント

「製薬協コードオブプラクティス」に基づいた一般の人向けのサイト制作では、以下のポイントなどを押さえる必要があります。

・適正広告基準に基づく医療用医薬品の広告に該当しないコンテンツであること
・薬機法、適正広告基準などの関連法規を遵守して作成し、一般の人(患者)にとって必要性があり、内容が適切なもの
・特定の医薬品の広告と解釈されないよう、内容は疾患の説明を原則とすること。必要に応じて、医師または医療関係者への相談を促す内容を盛り込むこと
・病状などが、確実に病気であるかのような印象を与える表現はしないこと
・セルフチェックリストは、チェック結果で疾患を断定するような表現はしないこと
・製品名を想起させるアドレス名(URL)を使用しないこと

 

製薬協コードオブプラクティスに関係するデザイン例

実際に「製薬協コードオブプラクティス」がどのように表現されているのかを実際のWEBサイトのデザインを見てご紹介します。

 

1.製薬企業のWEBサイトのヘッダーメニューやコンテンツ

多くの製薬企業のサイトのヘッダーメニューには、患者・ご家族の皆さま、医療関係者の皆さま、株式・投資家の皆さまなど対象者の入口がしっかりと設けられていることが特徴の一つです。
コンテンツの対象者を明確にし、誘導することが、まず何よりも重要です。対象者に合わせた適切なコンテンツを届け、誤認や誤解が生まれないようにしなければなりません。
そのために、サイト企画段階で対象者に適切な情報を届ける情報設計とユーザーにわかりやすい導線をデザインする必要があります。


https://www.santen.co.jp/ja/


https://www.astellas.com/jp/

 

2.一般の人に向けたセルフチェックリスト

健康状態のセルフチェックができるサイトを見かけることがあります。これも自主基準に基づき、セルフチェックリストを作成する場合はチェック結果で疾患を断定するような表現を用いないことが定められ、疾患の特定には医師への相談を促す内容を盛り込む必要があります。


https://www.tumemizumushi.jp/

 

3.病状などが、確実に病気であるかのような印象を与える表現はしない

サイトを訪れる一般の人や患者さんに対して、変に不安を煽るような表現を行ってはならないことはもちろんですが、正確かつ適切な内容を届ける必要があります。製薬会社が届けるサイトの表現は細心の注意を求められますが、その内容をわかりやすく伝えるために、イラストなどを用いて柔らかく安心感と親しみやすさを演出したサイトデザインが多いのが特徴です。


https://e-65.eisai.jp/

 

イラスト同様にリアルな写真を使ったサイトも不安感を煽るような表情はなく、ポジティブな印象で勇気づけるサイトデザインが多いです。


https://pdnet.eisai.jp/

 

これらのサイトは、製薬協の加盟企業が一般人や患者さんを対象に作成しているサイトですが、特定の医薬品の広告と解釈されるものはなく、内容は原則として疾患の説明になっていることも重要なポイントです。

 

まとめ

このように「製薬協コードオブプラクティス」を理解しサイトを考察する中で、ユーザーに合わせて正しく伝える必要性を何度も問いていて、その責任に改めて気付かされます。
ユーザーごとにわかりやすく、そして正しく情報を理解できるサイトにするためには、ユーザーに寄り添う体験をコンテンツやデザイン上で企画できるかが医薬系分野のクリエイティブのキモであり、ますます重要なカギになってくるでしょう。